AHIには毎日、保健や開発に関するメールなどが届きます。
「People's Health Movement(PHM)」という
草の根の保健に関わる個人や団体がつくる 国際的なネットワークの
メーリングリストがあって、AHIにとっては貴重な情報源の一つです。
今日、PHMのメールに「支払い可能な価格の、ちゃんと効果のある薬に
アクセスする権利」についての投稿がありました。
この投稿を読んで、今年の国際研修でインドのマノさんが
言っていたことを思い出しました。
「貧しい人たちは情報へのアクセスする機会が少ない。
そこを狙って企業は自分たちの利益となる情報を流す。
保健や公衆衛生の分野でも、商業化がすすんでいる。
企業の宣伝文句を信じて、貧しい人たちが借金をしてでも
私立病院に行くようになっている」
12/18(日)、23(金・祝)にAHIが名古屋市立大学看護学部、JICAと
共催する
連続講座「健康をささえる社会のしくみを考えよう」にも関わる内容です。(連続講座の詳細はこちら↓)
http://ahi-japan.sakura.ne.jp/xcl/modules/xpress/2016/11/20/1-6/なのでそのメールの内容をかいつまんでご紹介します。

-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-
2016年3月、インド政府は344種類の多剤混合薬(FDC,
Fixed-Dose Combination)の生産、流通、販売を禁じました。
これに対してインド製薬協会は不公正だと訴え、
数か月前、デリー高等裁判所はこの訴えを認めました。
議論の的となっている344種類のFDCのうち、ほとんどは
医学的な効果や、継続使用した場合の副作用の実証がされておらず、
正式な登録がされていないものさえあります。
WHOの必須医薬品モデルリスト
※に掲載されている358種類の
医薬品のうち、FDCは24種類だけ。
※ 医薬品の入手が困難な開発途上国で最小限必要な医薬品として、入手しやすさ等も
考慮してWHOが選定した医薬品リスト。医療援助の際の指標ともされているFDCは正しく扱えるケースのみに使用するべきものとされていますが、
医療従事者たちはこれら344種類のFDCの使用方法についてきちんと
学んだことがありません。
しかし製薬会社は儲けのためにFDCを売り出しています。
344種類のFDCは氷山の一角にすぎず、安全性や効能が証明されないまま
市場に出回っているFDCは数えきれないほどあります。
FDCが流通すると、患者側にとっては薬にかかる出費が増えるだけでなく、
薬の選択肢を限られたり、実際の症状には必要ない物質までとることに
なったり、といったデメリットがあります。
344種類のFDCのなかには、依存性のある物質を含む咳どめシロップ、
つまり薬の名を冠したドラッグが複数含まれています。
投稿者は次のように続けます。
支払い可能な価格の、ちゃんと効果のある薬にアクセスできる
ということは、健康の権利の中核をなすものの一つです。
デリー高等裁判所の判断は、企業の利益を優先し、人びとの権利を
侵害するものです。しかも、これら344種類のFDCの安全性・効能の
実証不足の問題を指摘していません。
製薬会社は、デリー高等裁判所が344種類のFDCを擁護したと
捉え違えてはなりません。
薬剤や医療に関わる人たちには、これらのFDCを処方しないように、
インド政府には、薬剤の有効性や安全性を保障する制度を徹底するように、
司法には、製薬会社の商業戦略に乗せられないように、求めます。
:-:-:-:-:-:-
この投稿は、FDCが悪いと言っているわけではありません。
インドのジェネリック薬企業が、エイズ治療のためのFDCを開発し、
途上国におけるエイズ治療に貢献しています。
人びとの健康の権利に貢献する医薬品もあれば、
人びとの健康の権利を侵害する医薬品もあるということです。
誰でも必要なときに必要な保健医療サービスを、大きな経済的負担なく
受けられる「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」が世界的な課題に
なっています。
少子高齢化や過疎化がすすむ日本においても大きな社会課題です。
12月18日(日)、23日(金・祝)に行われる連続講座
「健康をささえる社会の仕組みを考えよう」で、社会、健康、公正を
キーワードに、一人一人の健康が守られる社会を考えてみましょう!
1985年に国際研修に参加したタイのヴィロートさんが講師です!!
連続講座の詳細はこちら↓
http://ahi-japan.sakura.ne.jp/xcl/modules/xpress/2016/11/20/1-6/職員Y